施設の概要
最上川を眼下に望む高台に位置し、なだらかな丘陵と杉林を背景に、周りの景観に溶け込む建築となっています。
とりわけ、その前面に広がる最上川の大蛇行部(大淀)を眺めることができるラウンジは、作品鑑賞の余韻に浸るのに格好の空間となります。
また、この美術館は木造(村山市産材)の可能性を追求した先駆的工法によるもので、地域循環型エネルギーのペレットボイラーも使用した環境にやさしい施設です。
●建築設計/計画・設計工房 代表 宮眞介氏
●敷地面積/4,220平方メートル 床面積/723.6平方メートル
(1).交流棟
木造平屋建468.5平方メートル
森林学習室、文化活用室、ラウンジ、事務室等
(2).展示棟
RC造平屋建198.7平方メートル
展示室、収蔵庫、機械室等
(3).ボイラー棟
木造平屋建56.4平方メートル
ペレットボイラー庫、サイロ等
設計者
宮眞介
1939年 山形県村山市楯岡生まれ。
1962年 日本大学理工学部建築学科卒業。
株式会社大林組設計部、クローン・ラスムッセン設計事務所(デンマーク)を経て、丹下健三+都市・建築設計研究所勤務。
1974年 計画・設計工房を創設し、代表取締役に就任。
1996年 から日本大学理工学部建築学科教授。
主な作品に資生堂アートハウス(日本建築学会賞)、金沢市立図書館(石川県建築賞)、福島県北塩原村役場・コミュニティセンター(福島県建築文化賞)、土門拳記念館(東北建築賞)、山形県酒田市国体記念体育館(建築業協会賞)、東京都葛西臨海水族園(公共建築賞)等。
計画概要
計画名称 | 森と水の文化館(真下慶治記念美術館) |
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敷地面積 | 約2,755平方メートル |
階数 | 地上1階 |
構造 | 交流施設:木造 展示施設:鉄筋コンクリート造 |
高さ | 6.2メートル |
設計者・建築 | 計画・設計工房 宮眞介 |
構造 | structured-envionment |
設備 | 知久設備計画研究所 |
施工者 | 建築:矢萩工務店、電気:ジェック、設備:村山西部菅工事共同企業体 |
工期 | 平成15年10月〜平成16年3月 |
オープン | 平成16年10月 |
第13回公共建築賞 優秀賞受賞
当美術館は第13回公共建築賞優秀賞を受賞いたしました。
[公共建築賞とは]
公共建築賞は、(社)公共建築協会において優れた公共建築を表彰することにより公共建築の総合的な水準の向上に寄与することを目的とし、昭和63年より建設省(現:国土交通省)及び全国知事会等の後援のもと、一年おきに贈られています。
対象となる建築物は、国の機関、地方公共団体又は政府関係若しくはこれに準ずる機関が施行した建築物及びその他公共性の高い建築物で、竣工後、3年以上を経過したものとし、次にあげる視点により評価を行っています。
建築として企画・設計・施工が優れていること 。
地域社会への貢献が著しく、文化性が高いこと。
施設管理、保全が良好に行われていること。
[評]
施設は、真下画伯がテーマとされた最上川を一望できる丘の中腹、尋常小学校跡地に建設され、理想的なロケーションである。敷地内の桜をすべて残し、林野庁の補助事業を活用し、主たる建物を木造、市産材木材の活用など、作品と立地、建物が素晴らしく調和している。建物は小規模ながら、最上川を見下ろすテラス、各種イベントが行われる多目的室、絵画の常設展示室など、各々が求められる最良の空間を造り上げている。屋根が同じ張弦梁の構造でありながら、施設の奥に向かう空間の断面が変化する展開も興味深い。現在は産出されない地元の楯山石を市民に呼びかけ産出してもらい加工、テラスや玄関のアプローチに使用し、市産材の杉を外壁に活用するなど地元の文化をよく表出している。絵画の展示にとどまらず各種イベントが企画され、屋外テラスは地元住民の集いの場となっており、地元住民に愛される施設として評価される。